私達がふつうハンドベルと呼んでいるものは、正しくは、イングリッシュ・ハンドベルと言います。鐘の部分は銅と錫の合金で鋳造されており、その割合は80%:20%でこれは最も美しい音色をだす割合と言われています。
鐘を鳴らず振子(クラッパー)は一方向にだけ往復するようになっており、ベルを振る度に一度だけ鳴るようにスプリングで調節してあります。
ハンドベルに表示されている音名と楽譜上の音符の関係は図(1)のとおりです。ただしハンドベルは、実際は1オクターブ高い音を出しますので、A4が440Hzに調律されています。
ハンドベルは16世紀に、イギリスの教会で生まれました。塔の鐘を鳴らすのに、チェンジと呼ばれる一定の順序に従った鳴らし方があり。たとえば、鐘が4個あれば、1234、2143、2413、4231、4321、といったように鳴らします。 4個で24通り、6個なら720通りに順序を変えることが出来ます。
これを塔の鐘で全部鳴らすには何時間もかかり、順序を覚えるのも大変なので、練習用に考案されたのがハンドベルです。後に、チェンジの練習ばかりでなく、教会の前で、あるいは街角で、キャロルや讃美歌を鳴らすのに用いられるようになり、ベルの数も多くなりました。
ハンドベルがイギリスからアメリカヘ渡ったのはそれほど古いことではありません。現在アメリカで演奏を続けているグループの中で一番古いものは、 1923年ボストンで生まれました。
日本で初めてハンドベルが鳴らされたのは1964年、東京で日曜学校大会が催された時で、台湾の高主香さんが、当時教鞭をとっておられた台南神学校の学生を指揮して演奏されたそうです。その後日本の教会や学校で少しずつ使われるようになりましたが、本格的に演奏活動が始まったのは、1970年名古屋の金城学院で宣教師M.I.ケリー先生がハンドベルクワイアを結成した時と言ってよいでしょう。
アメリカでほ1954年にハンドベルの違盟(AGEHR)が創立され、イギリスでは1967年(HRGB)に、日本では1976年、ケリー先生の祈りが聞かれ、努力が実って日本ハンドベル連盟(HRJ)が世界三番目の連盟として誕生しました。 現在この外、韓国と、カナダ、オーストラリアに連盟があり、2年に1度これらの国で国際シンポジウムが行われています。
ハンドベルは誰にでも演奏できる楽器です。お年寄りでも、幼児でもベルを鳴らしたいという方なら誰でも、なるべく多くの人に使って頂きたいと思います。
ただ、良い演奏をするために、リンガーに望みたいことがいくつかあります。それは、勝手に練習を休んだり遅刻しないこと。自分の責任を大切にすること。共同作業てすから、協調性のある人、辛抱強い人、また健康な人が望ましいと思います。
グループのメンバーに選ばれたら、演奏だけでなく、ベルを磨いたり、テープルを片づけたり、部屋の掃除や重いベルのケースを運んだりすることも進んでして下さい。
なお、学校などの場合には、指導者はハンドベルについて保護者によく説明し、メンバーが練習に遅刻、欠席しないように協力して頂くために家庭とよく違絡を取っておくと良いと思います。